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眺望に投資する、という発想(2008-09-10:住宅コメンテーター/有限会社エムエイチスリー代表取締役・坂根康裕)

 「眺めの良い暮らしがしたい」。そんな理由で都心のマンションを購入する人たちが増えています。南向き信仰の強かった日本人―否、正確には東京人というべきか?―が向きよりも眺望を重視するようになったのは何故でしょう。
 考えられる理由を3点ほど。まずはじめに思い当たることは、空調換気をはじめとする設備の発達と法令化です。日本特有の高温多湿な春〜夏。とりわけ梅雨が南向き重視の最たる要因ではないかと言われています。しかし近年の住宅における断熱性と機密性の向上、さらには24時間換気の義務化が、その最大のネックをかなりの部分払拭させたと考えられています。

 2番目の理由として、超高層建築物の普及が挙げられます。ランドマークビルの最上階での展望体験や高層ホテルでの食事、あるいはタワーマンション生活を実際(または間接的)に見聞きする――このような経験が都会の眺めを価値として認識したのです。さらに壮大で優雅な眺めは、ときに都会のストレスを心地良く癒してくれるもの。そこには流行のヒーリング、音楽やアロマなどでは味わうことのできない独特の説得力があるようです。確かにいまや「癒し」は立派な産業のひとつ。眺めの価値が向きのそれを上回った、と言って異論を唱える人は少ないかもしれません。

 そして最後の理由として、東京の街そのものが眺められる魅力を増したことではないでしょうか。美しいフォルムのビルやマンションが競い合うように立ち並んでいます。先進な照明デザインがイルミネーションを演出し、整備された水辺や緑もいろどりを添える。大型再開発が先導し、東京の街はここ数年で急速にその表情を豊かにしたと言えるでしょう。

 実際にタワーマンションの値付けでは、富士山、東京タワー、レインボーブリッジが見える住戸の場合、販売価格にそれぞれプレミア分が上乗せされています。眺望の市場が明確に数値化されている一例といえるでしょう。しかしながらこの3つ、富士山や東京タワーはともかく、レインボーブリッジはほんの十数年前にできたばかり。新聞に折り込まれてくる中古マンションのチラシでも「六本木ヒルズが見えます!」「ミッドタウンが一望!」なんていうキャッチコピーが珍しくありませんが、どちらももっと最近生まれた再開発であることはご承知の通り。

 「将来何が建つか」――このフレーズは、開口部の前建てに対するリスク的な意味合いで使われますが、眺望の市場価値のこうしたトレンドにならって見るならば、前向きな投資材料として捉えてみるという発想ができないでしょうか。例えば開発が進む豊洲や赤坂、あるいは第二の東京タワー……これから都心の名物となりえるプロジェクトはまだまだ目白押しと言えます。

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