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売り切る対策とは、赤字覚悟の値下げ(2008-06-12:住宅ジャーナリスト・斉藤良介)

価格上昇、在庫数増加のマンション市場

 国土交通省がまとめた「07年度新設住宅着工戸数」は、前年度比19.4%減の103万5598戸で5年ぶりに減少した。減少率は74年度の28.5%に次いで過去2番目だし、110万戸割れは66年度の88万1430戸以来、実に41年ぶりの低水準である。
 急激に減少した理由は、いうまでもなく07年6月20日の改正建築基準法施行に伴なう建築確認を厳しくしたための混乱である。

 当然、構造計算書の二重チェックが行われるマンションは、販売戸数に大きな影響が出る。不動産経済研究所の市場動向調査によると、07年度の首都圏での新規発売戸数は前年度比17.9%減の5万8156戸で、最も多かった00年度の約6割水準である。また、平均価格は4698万円で06年度より9.3%も上昇した。大量供給が始まった94年度以降の最高価格で、契約率と販売在庫が悪化した。平均初月契約率は好不調の分かれ目といわれる70%を下回る66.3%で、前年度より11.2%もダウンしたし、3月末時点の販売在庫数は絶好調だった2年前のほぼ2倍の1万戸以上に急増するなど、アゲインストが吹いている。

団塊ジュニアがマイホーム断念

首都圏の新築マンション市場は、4月に入っても販売戸数減、価格上昇、契約率低調が依然として続いている。不動産経済研究所によると、新規発売戸数は2875戸で4月として93年以来の低水準だし、平均価格は5344万円で06年7月以来9カ月ぶりに5000万円台だし、契約率は63.1%と更にダウンして好調とされる70%を9カ月連続で下回った。

 1年前の07年4月は、新規発売戸数4090戸、契約率74.3%と好調だった。ところが昨年夏ごろを境に市況が失速、08年4月の販売戸数は6カ月連続して前年同月比2ケタ減少し、初月契約率は24カ月連続して前年同月比下落している。まさに、バブル経済が崩壊した90年9月〜92年2月当時以来の状況である。

 ちなみに、94年から06年まで10年以上にわたって年間8万戸以上が市場に出回ったマンション大量供給時代は、団塊ジュニアなどヤングファミリー層が主役だった。ボリュームゾーンの3000万円以下は、家賃並の予算でマイホームの夢が実現できたからだ。ところが、07年に入ると土地代と建築費のアップで販売価格が上昇、資金計画が難しい団塊ジュニア層など一次取得層はマイホームを断念した。売れ行き不振の最大の理由は、販売価格の上昇なのである。

値下げラッシュ時代に突入

 4月の平均価格は最高値水準だが、その理由は“億ション”が多かった東京23区内平均価格が全体を引き上げたことで、郊外はほぼ横ばいである。

 ボリュームゾーンである3000万円以下の郊外の一次取得層向けマンションは、多少割安感と思える価格設定でもユーザーが買い急がないため、販売期間が長期化している。最寄り駅までのアクセスに難があると、竣工後も半分程度しか契約していない事例も多い。08年の在庫数は、ずっと1万戸を超えている。

 では、今後のマンション市場はどのようになるのだろうか。結論からいえば、軒並み大苦戦している郊外型マンションは、単純に用地代と建築費のアップを販売価格に上乗せできない。というか、売り切るための値下げに踏み切ったり、値下げ競争になるといった極端なケースも予測できる。立地条件や商品企画の魅力が乏しいマンションは、魅力的な価格まで下げなければ先延ばしても売れる見込みがないからだ。郊外マンション市場は、販売価格の値下げラッシュだろう。また、臨海部の人気物件、都心や近郊の高額物件も勢いが衰えているため、弱気な価格設定になるだろう。

 大手デベロッパーや中堅のマンション専業の08年3月期決算をみると、軒並みに過去最高の売上高と利益だったが、09年3月期予測は販売価格ダウンなどから減益する企業も多いことが裏付けている。

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