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「200年住宅ビジョン」雑感(2007-07-12:元・不動産協会常務理事・松本論機

 昨年9月から不動産ジャーナリスト会議のメンバーにしていただいた。本来ジャーナリストではないし、その経験も無いのだが、勤めていた不動産協会で長年広報を担当して報道界の方達に知己を得たこともあり、本会議幹事のO氏に「ボケ防止のために月1回ぐらいは勉強を」との薦めに乗じて喜んで入会を申入れた次第だった。不動産協会を退いて早や2年、馬齢も67を重ね、不動産を巡る状況にもだんだんに疎くなって、不明を託つことが多くなって来ているが、自分の半生涯が絡んだ世界を振返りつつ定例会の講演や企業との情報交換会などの会合に出席させていただいている。
 先の6月の定例講演会は自民党・住宅土地調査会が取り纏めた「200年住宅ビジョン」を演題として、同調査会会長・福田康夫氏によるものだった。このビジョンの意義は、氏が強調されたように、100年先、200年先を見据えた住宅と居住の在り様を考え、海外先進国に比して遅れをとっている住生活をより豊かなものにしようという強いメッセージを発したことであろう。少子高齢化に伴う人口・世帯の構造変化や深刻化する資源・環境問題、あるいは国民の価値観やライフスタイルの変化にも対応し、より豊かな国民の住生活実現のためのストック形成の重要性をアッピールし、その実現に向けた12の政策提言はそれぞれに実効性のある内容だと思う。

 福田氏は講演の結びで、現在の住宅ストックがリサイクルの時代を迎える時期、言い換えれば200年を象徴とするロングライフ住宅の黎明期までには50年はあるだろう、と指摘された。このことは、この50年の間に、ロングライフ化を促す技術開発や流通・管理のシステム等の整備は完了している必要があるし、一方で現実の住宅がこの長期路線に沿って着実に供給され始めなければならないことを意味する。昨年6月に制定された住生活基本法に基づいて閣議決定された住生活基本計画(全国計画)には、住宅の寿命(滅失住宅の築後経過年数)を平成15年時30年だったものを12年後には40年とするなど、住生活向上の主たる目標に関して平成27年までの間における数値的な指標と関連施策を種々掲げており、政府の意気込みを感じるが、個人的にどうしても気になるのは、新たに生み出される住宅供給の在り様だ。

 一つは、これらのロングライフ住宅のメインとなる高層共同住宅が何処にどのように配置されていくのだろうか。当然のことながら、大都市地域を中心に立地するのだろうけれど、郊外の団地型の場合はともかくとして、都心立地型のマンションが如何様に供給されていくのか、大いに気懸かりである。住居が恒久的になるのだから、それを取り巻く生活環境や社会環境の在り様も同様に恒久的なものが求められる。景観・眺望、公共公益施設や生活利便施設等々と調和し、住宅の社会資本化を現実化する一体的な街並みが形成されていかねばならない。50年先を見据えながら、提言にあるような街づくりの制度について早急に実効性のある議論がスタートしなければならないと思う。

 いま一つは、200年住宅供給の主たる担い手となる住宅建設業や不動産業の在り様に大きな変化が求められることだ。もちろん、他の産業界においても人口減少・高齢化社会の到来によって様々な変化が起こり、今後とも更に進展するだろう。しかしながら、専ら国内需要を背景に生成発展を遂げ、フロー重視のもとで現実の住宅、街並み、そしてこれらの供給や形成に関わってきた住宅・不動産業はどのような変遷を辿るのだろうか。技術や関連システムが整備されるもとで、超耐久財となる住宅の新規供給を専業とする企業の戦略はどのようなものなるのだろうか。そして、これらの産業界の構造にも大きな変化が顕れるに違いないように思われる。関係団体に身をおいた者として、これまた大いに気になるところではある。

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- | 2007/09/18 10:11 AM
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