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金融機関は大いなる疑問符に答えるべき時期が来ている(2003-04-03:(株)不動産経済研究所・伊能肇)

 日本経済の質的構造が大きく転換している。主に金融制度―資金調達の仕組みと雇用環境の変化によるところが大きいと思われる。間接金融から直接金融への流れと終身雇用形態の崩壊が社会・経済全般の底流部分―日本の戦後的な常識を破壊し、質的な転換を迫っているということになる。
 直接金融へのシフトは、これまで金融機関―主に銀行が引き受け手となってきた「投資リスク」「貸し手リスク」を直接的に投資家などが引き受けるという状況になるということであり、終身雇用の崩壊は有名大学―有名会社への就職といった価値観が何の意味ももたない時代に入ったということになる。

 住宅金融公庫の質的転換を盛り込んだ「公庫法の一部改正案」が2月12日の閣議で決定され、3月末までには成立する見通しだ。

 今回の公庫法改正は、公庫の新たな業務として「買取型の証券化支援業務」と「保証型の証券化支援業務」を追加するというものだが、この業務を手がける前提には「公庫の独立行政法人化」と財投改革とを絡めた「公庫融資制度の廃止」とがある。

 こうした内容はすでに閣議決定されていることもあって数年以内に現実のものとなるが、公庫の直接融資は住宅・不動産・建設・損保・生保・金融といった各産業に良いにつけ、悪しきにつけ影響を与え、同時に一般庶民の持家需要をリードしてきただけに、そうした基本的な構図が根こそぎ崩壊する可能性がある。住宅・不動産・建設といった産業では、公庫融資の肩代わりを民間金融機関に求めざるを得ないわけだが、大手企業はいざ知らず中堅・中小企業にとって住宅融資が確保できなければ、自らの企業生命さえ絶たれかねない状況が出現することにもなる。

 無論、現行の住宅ローン減税をアメリカ型の利子所得控除に転換し、金融機関の競争―つまりはローン利子の自由な競争を容認するというのなら、住宅関連産業の淘汰は合理的な「市場でのシャッフル型」として発生するだろうが、金融機関に税を投入し横並びで銀行を存続させる現行の金融システム下では「銀行による人知主義」といった非合理的な形での淘汰しか進まないことになる。住宅を建設し、販売し、管理するといったプレイヤーが減少すれば、住宅政策の将来さえ描くことは難しくなる。

 公庫が住宅ローン分野から完全撤退すべきだとする民間金融機関は「住宅政策を念頭」に住宅融資を展開するという「貸し手責任」が本当に実現できるのか、今こそ、そうした大きな疑問符に答えるべき時期だ。

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