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“公庫廃止”ネットアンケートで「選別融資」等の実状が判明(2003-07-01=(株)住宅産業新聞社・池上博史)

 住宅産業新聞社とビルダー経営研究所は、同研究所が運営する「ビルダーネット」を通じて緊急アンケート「住宅金融公庫廃止の方向−本当にこれでいいのか」を行った。有効回答数は109。回答者の属性は中小工務店48%、住宅メーカー27%、一般消費者13%、その他13%。
 “公庫廃止”が喧伝される中、民間金融機関が“住宅ローン攻勢”をかけ、公庫の融資戸数の減少が続いている状況が、住宅取得者、住宅業界にとって、好ましいことなのかどうか等を知るのが狙いである。

 10項目の設問への回答と自由意見を求めた結果のうち、主な回答をみると、民間金融機関から過去1年間に「融資を断られたことがある」との回答は29%、「融資条件を厳しくされた」が53%となった。これらは、「融資選別があった」との回答であり、その合計は82%に達している。「断られたことはない」は18%であった。

 民間金融機関の住宅ローンに対する評価に関する設問では、「商品性は多様化したが、内容が複雑で審査基準もまちまちであり、利用者からみれば分かりにくく使いにくい」34%、「自営業者や転職者など一定の層に対する資金計画が立てずらくなった」27%となり、民間ローンの負の影響がある割合は6割強となった。一方、「融資姿勢も積極的になり商品性も改善されて、顧客にあったローンが自由に選べるようになった」とのプラスの評価は18%にとどまった。

 自由意見を記した回答は37あり、そのうち7割強は公庫制度の存続を望む内容であった。自由意見のうち1つだけを以下に紹介してみよう。

 「公庫融資が無くなれば、日本の住宅の質は大きく低下するでしょう。銀行ローンの利用者からは違法建築物の建設まで頼まれます。中小工務店は、会社経営も苦しく、違法でも施主から頼まれると断れません。これまで公庫の仕様書に基づき、一所懸命、住宅の質の向上に努めてきました。また、それが誇りでした。しかし、この1年は質どころか、違法住宅まで建設しました。銀行は、施主に返済能力があると判断し、何も言いません。これまでの私の努力は、何だったんでしょう。これが先進国の住宅造りでしょうか。これからも生活のために、工務店を続けることになりますが、子供にどのように説明し、後を継がせるものか悩みます」

 “公庫廃止”をビジネスチャンスとする銀行等の“低金利合戦”が続く中、金利上昇時の逆ざやリスクが懸念されてもいる。「民間でできるものは民間にまかせる」改革路線の一方で、大手都銀に新たな2兆円の公的資金を投入とのニュース。銀行を“国有化”する意味は分からないわけではないが、金融危機の回避策の一方で、国民の生活危機に目を向けない「改革」のあり方に、疑問符を投げかけるアンケート結果といえよう。

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