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ユビキタス住宅とは?(2004-03-18:ジャーナリスト・千葉利宏)

■■千葉 利宏■■
 年明け早々にパソコンを1台購入した。これで合計4台目。自宅を事務所にしている私が仕事用のデスクトップ1台と外出・出張時のモバイル用1台の2台。当初は小学校教諭である妻の仕事用に買ったパソコンが、いまでは高校生の息子に専有されてしまい、結局、もう1台、買わざるを得なくなったのである。
 すでに自宅のインターネット回線は半年ほど前にADSLからBフレッツに切り替えて高速化。セキュリティの問題は気になるものの便利さに負けて無線LANを導入、家中どこからでもインターネットにつなげるようにしてある。新しく購入したパソコンも無線LANカードを差し込んで、インターネットに接続しただけでなく、私のパソコンに接続しているプリンターをリモートで操作できるようにしたので、妻もご満悦だ。

 いつでも、どこでも、誰とでもつながる―ユビキタスネットワーク社会の到来とともに住宅のユビキタス化も、今後急速に進むことになるだろう。昨年12月から地上波デジタル放送がスタートし、デジタル薄型テレビ、DVDレコーダ、デジタルカメラの“デジタル3種の神器”の普及も本格化。今年に入って電子納付や所得税などの電子申告も始まり、今後2―3年でほとんどの行政手続きは自宅からインターネットで済むようになる。

 いずれ冷蔵庫や電子レンジ、照明器具やエアコンなど全ての家電製品や住宅設備がネットワークで結ばれて、携帯電話やパソコンなどの端末から操作できる日も遠くない。さらにプライバシー問題も指摘されるが、全てのモノに“ICタグ”が取り付けられるようになれば、モノの管理が飛躍的に便利になる。

 あらゆるデータを管理して日常生活に役立つ情報を引き出すことができる住宅―これが私のイメージしている「ユビキタス住宅」だ。例えば、ICタグを瞬時に読み取るセンサーを住宅の玄関などに取り付ければ、買い物をして帰宅して玄関を入るだけで、買ってきた商品と値段を自動的に読み取りコンピューターに記録、家計簿をつける必要はなくなってしまう。電気、ガス、水の消費量も個別機器ごとに管理できれば、エネルギー消費量とコストも一目瞭然となり、最適化も実現しやすくなるだろう。

 最大のメリットは、モノを購入して廃棄するまでの履歴とライフサイクルコストを管理しやすくなることだ。モノを、いつ購入、修理、廃棄し、それぞれ費用がいくらかかったかを記録している几帳面な人はそう多くはないと思うが、それぞれにICタグが埋め込まれていたらデータ管理は格段に容易になる。これらのデータを、インターネットを通じて世界中から集めたらどうなるか。「A社の商品は故障しやすい」とか、「ライフサイクルコストではB社が安い」とか、曖昧だった事実を実際のデータで明らかにできる。

 住宅・不動産の分野でも「証券化」という言葉を聞く機会が増えてきた。2001年9月にはJ-REIT市場が誕生し、03年からは住宅金融公庫の証券化手法を使った住宅ローンの提供も始まった。消費者にも「証券化」の考え方が着実に浸透していくことになるだろう。

 証券化の基本的な考え方は「運用して得られた収益を配当することを約束して投資を募る」こと。不動産物件の場合は、賃貸収入から固定資産税や維持管理費などを差し引いたのが“得られた収益”となるわけだが、これまで収益を計算する上で不可欠な維持管理費に関する適当なデータを得ることが難しかった。

 ユビキタス住宅では、維持管理データを蓄積してコスト分析も容易になる。それによって住宅ストック市場の透明性を一気に高めることができるかもしれない。プライバシー問題もICタグのデータを誰が管理するかによって生じると考えられるので、消費者側が管理するのであればとくに問題とはならないはず。データを丸裸にされる供給者側にとっては脅威となるかもしれないが…。
■■千葉 利宏■■(2004-03-18)

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