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依然として存在する、ユーザーに懐疑心抱かせる建売住宅(2004-12-02:住宅ジャーナリスト・斉藤良介)

マンションと競争できる価格圏まで下がったが
 ここ数年、大都市圏ではマンションがマイホームとして完全に定着した。ところが、全国約10万7,000の宅地建物取引業者で組織している全国宅地建物取引業協会連合会の調査によると、持ち家派の約73%が一戸建て住宅を希望しており、“戸建て信仰”は依然根強いことが分かる。
 国土交通省の調べでも、持ち家や貸家の新設着工数が毎月増減を繰り返しているなかにあって、戸建て分譲住宅は今年4月まで1年半にわたって増加を続けており、その後も多少減少した月があったが増加基調は変わらない。

 最近の建売住宅市場の特徴は、数年前よりチョット広めの庭付き戸建て住宅が近郊エリアでも供給が増えてきたことだ。アバウトでいえば、10kmほど都心に近づいている。しかも、販売価格が新築マンションと競争できるまで下がっている。このため、超低水準を維持しているローン金利、今なら利用できる有利な住宅税制という追い風を上手に使って、団塊ジュニアを中心とした初めてマイホームを購入する一次取得層が積極的にマイホームの夢を実現している。

 不動産経済研究所の調査によると、首都圏では一昨年あたりまで、主に中堅以上の企業が供給する原則10戸以上の団地型建売住宅市場は年間5,000戸台前半で推移していた。それが2002年秋を契機に増加に転じ、2004年上半期(1〜6月)の新規供給は3,088戸まで拡大した。また、その平均価格は4,546.9万円だから新築マンションと競合できる価格圏まで下がり、月間平均契約率は63.1%と前年同期より1.5ポイント高い。

 このデータだけで判断すると、実際の市場価格より割高だと感じるかもしれない。同研究所の調査対象は原則10戸以上の団地型に限定しているからで、3万5,000戸程度だと推計されている首都圏全体の総供給戸数のうち、約8割は地域に密着した業者が供給する比較的小規模な開発だといわれている。そして、それらは団地型に比べて1戸当たりの規模が小さく、割安感のある物件が多い。こうした小規模開発物件の正確なデータは存在しないが、ひとつの目安になるのが東日本不動産流通機構(=東日本レインズ)の動向調査である。それによると、主に地場業者が東日本レインズに新規登録したと思われる2004年度第2四半期(7〜9月)の新築戸建て住宅は1万907件で、2期連続して20%以上増えており、その平均価格は3,776万円だが、3,000万円以下の物件が5割を超えている。

なぜ、短期間で大幅値下げが可能なの?

 こうしたデータから判断すると、建売住宅市場は確かに好調のようにみえる。ただ、これらはあくまでもマクロの話であって、細かく分析すると問題は多い。

 建売住宅の購入を計画している人に聞くと、依然としてマンションに比べて設備やインテリが劣っているという不満が多い。部位でみる最大の不満は、キッチンや洗面・浴室といった水回りである。システムキッチンや洗面化粧台など設備機器がマンションに比べて見劣りするという不満もあるが、それ以上に使う人の立場で考えられていないという。例えば、対面式キッチンが人気だというと全戸が対面式だったり、マンションでは少ない洗面室の窓付きを売り物にするために正面の鏡を小さくしたり収納スペースの機能性が悪い、あるいは平面プランでいえば動線が2ウェイになってないので機動性に欠けるといったところが代表的な不満である。

 インテリアでいえば、高価な建材を使用しなくてもよいから健康に配慮した仕上げ材で、センスのよいカラーコーディネートに努めて欲しいという要求がある。セキュリティや2台分の駐車スペースを求める声も多い。つまり、高級ではなくてもよいから、使い勝手のよい住まいを望んでいるのだが、そうしたニーズに応えていない物件が実に多いという。こうした要望は、建売住宅を供給している業者なら誰でも分かっていることだが、販売価格を最優先して商品企画に生かしてしていないのだ。

 売れ残ると平気で価格を下げるケースが増えているのも問題だ。売れ残ったのだから価格を下げて在庫処理をするのは当然だといわれればそれまでだが、その下げ幅が半端ではない。先日見かけた新聞の折り込みチラシでは、わずか1ヶ月で3,000万円台の物件が2,000万円台前半にまで1,000万円近くも下げていた。こうした極端な例は、資本力の弱い地場業者に多いが、地域に密着して低価格の物件を大量に供給している住宅施工会社、いわゆるパワービルダーのなかにも交渉次第で300万円とか500万円も下げる事例が少なくないと聞く。

 建売住宅市場は一見好調だが、裏側にはそうしたユーザーに懐疑心を抱かせる物件が依然として存在するのも事実である。

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