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第4回「日本不動産ジャーナリスト会議賞」が決定!!

 日本不動産ジャーナリスト会議(REJA、代表幹事・阿部和義)は、このほど選考委員会(委員長・三橋博巳氏=資産評価政策学会会長・前日本不動産学会会長)を開催し、第4回「日本不動産ジャーナリスト会議賞」(平成25年4月〜26年9月分)を選定いたしました。応募8件・8候補の中から厳正な審査の結果、「プロジェクト賞」に4件、「著作賞」に1件の合計5件を決定しました。受賞者と受賞理由は、次の通りです。【2015-02-17】

【プロジェクト賞】
(1)建築費が坪50万円台という低コストの環境配慮型オフィスビル「ラゾーナ川崎東芝ビル」の企画・設計(受賞者=NREG東芝不動産株式会社)
(2)多摩ニュ―タウン「エステート鶴牧4・5住宅」改修事業(受賞者=株式会社長谷工リフォーム、エステート鶴牧4・5住宅管理組合、住宅金融支援機構の3者)
(3)「柏の葉スマートシティ」の街づくり
(受賞者=三井不動産株式会社)
(4)「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」の街づくり(受賞者=パナソニック株式会社、パナホーム株式会社)
【著作賞】
『全国マンション市場40年史』(受賞者=株式会社不動産経済研究所)
【プロジェクト賞】
(1)建築費が坪50万円台という低コストの環境配慮型オフィスビル「ラゾーナ川崎東芝ビル」の企画・設計
(受賞者=NREG東芝不動産株式会社)


≪受賞理由≫
NREG東芝不動産の「ラゾーナ川崎東芝ビル」(川崎市幸区堀川町)は、低コストのBCP(事業継続計画)対応の高性能環境配慮型オフィスビルを実現した。具体的には、建築費が坪50万円台という低コストの免震ビルで、平成25年10月にオープンした。建築費が高騰する前の発注・設計であったが、当時でも一般的な環境配慮型のBCPビルの建築単価は坪100万円前後で、それと比べても格段に安い。

安くできた理由は、 嵳柱空間」によって、費用のかかる鉄骨の躯体費を大幅削減できた、▲汽ぅ灰蹐里茲Δ淵ューブ形状にして、専有面積を大きくした、カーテンウオールを省いて、代わりに日射遮蔽効果のあるルーバーでビル全体を囲んだ。その内側のビル外壁は、ガラス以外の部分をアスロックという押し出し成形セメント板で覆った、づ杜呂72時間対応の非常用発電機を設置し、年間のCO2排出量も同規模の一般的なオフィスビルの半減とした、など。

川崎地区でのテナント賃料負担限度額が、月額の坪単価で1万円半ばというニーズを踏まえて、リーマンショック後の低コストのビルを企画した。これまで多くのデベロッパーが、「これくらいのテナント賃料はとれるだろう」という甘い見通しをもとにビルを建設し、その結果、想定した収益・利回りが得られずにテナント確保にも難航するなどの痛い目にあうケースが見られた。しかし、このオフィスビルは、これを見事に克服してユーザーニーズを反映できたことが、高く評価される。

「ラゾーナ川崎東芝ビル」は、地上15階建てで、基本設計者は日建設計・野村不動産、施工者は大林組。テナントは東芝グループ。


(2)多摩ニュ―タウン「エステート鶴牧4・5住宅」改修事業
(受賞者=株式会社長谷工リフォーム、エステート鶴牧4・5住宅管理組合、住宅金融支援機構の3者)


≪受賞理由≫
この改修事業は今から33年前の昭和57年に、現住宅都市機構が分譲した「エステート鶴牧4・5住宅」全9棟・356戸(3〜5階建て)からなる大規模低・中層団地型マンションにおいて、コストのかかる外断熱工法の導入やスマート化改修等による本格的な省エネ改修を実施し、優れた断熱性能による居住性の向上や建物の「長寿命化」を実現したものである。

住民の合意形成が難しくて、なかなか実施が進まない既存分譲マンションの省エネ改修事業において、築33年という高経年マンションでの住宅リフォーム改修の成功事例は、先導的な事業だけに、その評価は高いものがある。改修工事期間は、平成25年2月に着工、26年3月竣工した。

エステート鶴牧4・5住宅の管理組合では、時間をかけて団地の資産価値向上についての意識を共有化し、外断熱改修の効果等についてマンガを使っての周知を徹底するなど、居住者の合意形成に向けて理事会や専門委員会を中心に効果的な取り組みを行った。また、設計・施工の長谷工リフォームでは、居住者の永住志向を踏まえた省エネ改修の提案をし、国土交通省の補助事業への申請を支援して事業成立のメドを付けた。さらに、住宅金融支援機構では、多くの金融機関が管理組合向けの融資に消極的な中にあって、総工事費約11億円のうち3億5000万円という多額の融資を行って、資金面からの支援をして事業遂行の実現に大きく寄与したことからみても、受賞に値しよう。

こうした3者の取り組みによりヽ庵杷改修(外壁と屋根の外断熱改修、後付け樹脂内窓改修)、∪瀏の高効率化改修(共用照明のLED化、高効率給湯器への更新)、スマート化改修(スマートメーターによる「見える化」システム、高圧一括受電導入、幹線改修による専用部契約電力容量増強)――などの実現をみた。


(3)「柏の葉スマートシティ」の街づくり
(受賞者=三井不動産株式会社)


≪受賞理由≫
三井不動産が平成17年以来、公(柏市)学(東大、千葉大)民の連携で開発を進めてきた「柏の葉スマートシティ」(全体面積・300ha)は、「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」の3つの未来像の実現を目指しているニュータウンである。平成26年7月、その中核街区の「ゲートスクエア」がグランドオープンし、住宅・商業・オフィス・ホテル等の都市機能を集積したスマートシティとしての形を整えて、本格稼働となった。

なかでも、エリア一帯のエネルギーをマネジメントする「柏の葉スマートセンター」施設の運用が同年4月から始まり、AEMS(エリアエネルギー管理システム)として国内初となる街区を越えた電力を融通し合う本格的なスマートグリッドの運用を開始したことや、最新型HEMS(ホームエネルギー管理システム)を標準装備した賃貸マンション「パークアクシス柏の葉」等の実現は特筆される。

また、単なる住居・商業施設の運用だけでなく、ユニークなKOIL(柏の葉オープン・イノベーション・ラボ)施設のオープンによる創業支援のためのベンチャーオフィス設置や、3Dプリンターを完備したデジタル工房等の先端ハイテク機能をも盛り込んで、街をあげての新産業の育成に取り組み始めているのも、きわめて特徴的である。

なお三井不動産では、この第1ステージの完成に続き、第2ステージとなる今後の街づくり戦略(「柏の葉スマートシティ2030」戦略)を同時に提示して、日本が世界に誇れるスマートシティのリーデングプロジェクトとして、そのグローバル展開も展望していることから、受賞に値しよう。


(4)「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」の街づくり
(受賞者=パナソニック株式会社、パナホーム株式会社)


≪受賞理由≫
パナソニックとパナホームとが、パナソニックの藤沢工場跡地(神奈川県)を「複合大規模スマートタウン」(戸建て600戸、マンション400戸の計1000戸の住宅供給計画)に利用転換を目指したものである。このプロジェトは、藤沢市をアドバイザーに、先進的な取り組みをしている街づくりプロジェクト「FujisawaSST協議会」(パナソニックを代表幹事とする17社1協会で構成。平成24年10月設立)による大型スマートシティの街づくり。

平成26年4月、戸建て街区の入居開始による街びらきがあり、同時にタウンマネジ
メント会社「FujisawaSSTマネジメント」を設立し、その中核拠点施設として、「FujisawaSSTスクエア」が完成、加えて住民自治会組織の「FujisawaSSTコミッティ」も発足し、同年11月にグランドオープンした。エリア内の情報交流などを図った地域サービスとつながるポータルサイトを立ち上げ、各住戸に提供されるスマートテレビ画面で、エネルギーの見える化、コミュニティ、モビリティ(カーシェアの予約など)、セキュリティ、くらしカルテといった各種の地域サービスが受けられる。さらに、街全体の目標の具体化に向けた動きも、CO2削減や生活用水の削減、再生可能エネルギー利用率の向上、ライフラインの確保といった環境と安全・安心の目標を掲げ、取り組んでいる。

三井不動産の「柏の葉スマートシティ」街づくりプロジェクトと比べては、全体計画
のスケール、ハード、ソフト面とも小粒ではあるものの、中規模(総事業面積19ha)のスマートタウン実現化の先進・先駆的事例として注目されよう。なお、このプロジェクトは、国土交通省の「住宅・建築物省CO2先導事業」に平成25年9月採用されたほか、同年10月には、環境省の「低炭素価値向上に向けた二酸化炭素排出抑制対策事業」に認証されている。


【著作賞】
『全国マンション市場40年史』
(受賞者=株式会社不動産経済研究所)


≪受賞理由≫
本著作は、マンション市場の変動を累積数値から分析したオリジナルデータに基づい
て、主な市況指標を抽出したマンション市場動向史で、調査収録対象は昭和48年から平成24年までの40年間に販売された3階建て以上の民間分譲マンション約467万戸(首都圏222万戸、近畿圏108万戸、その他137万戸)。調査項目は物件概要、分譲会社、分譲価格、分譲面積、発売年月、竣工年月等。同社が昭和48年から毎年実施している「全国マンション市場動向調査」の40年間の蓄積されたデータを基本にしている。

同社では昭和42年から東京圏の民間分譲マンション調査を始め、昭和48年からは全国に調査対象を広めた。個別マンション事例を基礎とした月別・地域別の販売動向や価格動向などは景気指標として官庁、マスコミ等に頻繁に引用されており、とりわけ首都圏、近畿圏の月別市況データは、マンション市場だけでなく住宅建設関連の市況動向の行方を裏付ける基礎データとして各方面に広く活用され、貴重な資料として高く評価できる。価格は7万3500円で、B4判。

なお同社では、この『全国マンション市場40年史』の発刊と合わせ、『住宅・不動産業、激動の軌跡50年』を平成26年12月に発刊した。これは同社発行の日刊不動産経済通信の「今週の情報」「通信週評」欄から158編を厳選編集したもので、コラムとはいえ、50年にわたるわが国の住宅・不動産業界の歴史を知る上での貴重な、もう一面の記録となっていることを付記しておこう。

<文責・幹事・大越 武>

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