日本不動産ジャーナリスト会議

日本不動産ジャーナリスト会議サイトへようこそ。

<< 日本不動産ジャーナリスト会議平成23年度(2011年度)定期総会を開催 | 日本不動産ジャーナリスト会議 | 第2回日本不動産ジャーナリスト会議賞 特別記念講演会の開催のお知らせ >>

第2回(平成23年度)日本不動産ジャーナリスト会議賞を決定しました

 各賞の受賞者と受賞理由==選考結果報告==(2012年1月5日)

 日本不動産ジャーナリスト会議では、日本不動産ジャーナリスト会議賞の選考委員会(委員長=三橋 博巳・日本不動産学会会長)を開き、「第2回(平成23年度)日本不動産ジャーナリスト会議賞」の「プロジェクト賞」に、〇旭翩堝飴此奮堯法μ鄲蕊堝飴此奮堯法ζ本橋一の部連合町会の3者の「日本橋室町東地区開発計画第1弾『コレド室町』・『YUITO』」、熊本市・熊本城観光交流サービス(株)・熊本城桜の馬場リテール(株)と(財)民間都市開発推進機構の4者の「熊本城桜の馬場『城彩苑』整備事業」の2件を、「著作賞」には、仝伝匳ー(株)住信基礎研究所研究理事・京都大学大学院客員教授の『成功する自転車まちづくり〜政策と計画のポイント』、∪邯正人東京理科大学教授・東京理科大学・小布施町まちづくり研究所長の『小布施まちづくりの奇跡』の2件、合計4件を決定しました。各賞の受賞者と受賞理由は、次の通りです。

【プロジェクト賞】

(1)「日本橋室町東地区開発計画第1弾『コレド室町』・『YUITO』」
   受賞者=三井不動産(株)・野村不動産(株)・日本橋一の部連合町会

 三井不動産と野村不動産は、街の活性化と新たな魅力の創造を目的とした「日本橋再生計画」を、官民地元と一体となって推進しており、平成22年秋完成オープンさせた「コレド室町」(三井不動産)と「YUITO](野村不動産)は、その一環である「室町東地区再開発計画」の第1弾となるものである。地元の日本橋一の部連合町会他との連携協力によって誕生した。

 全体計画は全5街区で、オフィス・商業施設・賃貸住宅・多目的ホールなどの機能を融合させた大規模複合再開発として、「日本橋再生計画」のコンセプトである「残しながら、蘇らせながら、創っていく」に基づき、商業機能、文化・交流機能を充実させ、都市基盤の再整備、歩行者ネットワークの形成を図っている。

 主な特徴は、 崙擦鼎りによる街づくり」をコンセプトに、「中央通り」を低層部の高さ100尺(31m)に統一して、歴史ある景観との調和を図った、◆峭掌雄通り」では、日本銀行から続く桜並木を延伸し、歩道の幅を広げ、「仲通り」「浮世小路」では福徳神社への参道として電線を地中化し、石畳を敷くなど、それぞれの通りに個性を持たせた、「コレド室町」では、様々なイベントが行える文化発信の場となる多目的ホールや、鰹節専門店「にんべん」、刃物専門店「木屋」といった江戸日本橋の老舗テナントを誘致し、日本橋らしい歴史を蘇らせ、“和のイメージ”をつくった。「YUITO」では、本物を求める大人のための商業・サービスゾーンを提供している――などで、それらが高く評価され、その歴史性、文化性、景観性からみて優れたものとなっている。 

(2)熊本城桜の馬場「城彩苑」整備事業
  受賞者=熊本市・熊本城観光交流サービス(株)・熊本城桜の馬場リテール(株)・(財)民間都市開発推進機構 

 この都市開発事業は、熊本城一帯の都市計画公園区域内の市有地において、観光客へのサービスと熊本の魅力を発信する機能を備えた観光連携拠点「城彩苑」を設置したものある。歴史文化体験施設や総合観光案内所などの公的施設の整備は「PFI方式」、物販飲食施設の整備は民間企業が主体となって運営する独立採算方式と、2つの方式を組み合わせて官民一体となって実施された数少ない複合型の「PPP(公民連携)事業」である。

 PFI事業の実施主体は、凸版印刷、地元の建設会社などでが設立した「熊本城観光交流サービス(株)」で、独立採算事業の実施主体は、熊本商工会議所が中心になって設置された「熊本城桜の馬場リテール(株)」である。地元の有力企業が参加し、地域をあげての観光拠点の強化、地域経済の振興・活性化に取り組み、平成23年3月、九州新幹線の全線開業に合わせてオープンした。けん引役のまちづくり企画会社の「(株)まちづくり熊本」には、熊本市、熊本商工会議所などが共同出資している。

 歴史文化体験施設「湧々座(わくわくざ)」は、加藤清正の肥後入国から西南戦争までを紹介する展示や、ドラマ仕立てで歴史を紹介する映像を上映して大人から子どもまで判りやすく熊本の歴史を紹介している。飲食物販施設「桜の小路」は、城下町に相応しい武家屋敷風の店舗13棟からなり、熊本の歴史風土を感じることのできる選りすぐりの23の店が集合し、郷土料理やここでしか味わえない古今の逸品の食文化に出会える魅力をもっている。

 高く評価された点は、PPP事業として民間の資金とノウハウを最大限に活用し、事業内容に適した異なる方式を採用しながら、熊本城のエントランスにふさわしい機能や、周辺環境と調和した景観の確保が図られた施設を、一体的に整備しているところである。

 また、民間事業として推進していく中で問題となる資金調達の面で、景気の長期低迷下、地元経済界からの出資に限界があるところを、(財)民間都市開発推進機構が「まち再生出資制度」による優先株出資(7,000万円)の支援協力が、独立採算方式の物販飲食施設の整備に寄与した点も評価された。

【著作賞】

(1)『成功する自転車まちづくり〜政策と計画のポイント』
   受賞著者=古倉 宗治・(株)住信基礎研究所研究理事 
             

 これまでの多くの自冶体の自転車政策は、違法駐輪対策、駐輪場整備など個別の問題への対応が中心となっており、自転車の果たすべき役割を本当に評価したうえでの、効果的な政策はとられてこなかった。このような認識の下、著者は、自転車先進国の最新政策や科学的データを駆使しながら、自転車の役割をもう一度、根本から理論的に見直すべきことを主張する。その上、今後の自転車政策の方向は、公共交通の代替、環境負荷の低減、健康増進などを総合的に盛り込んだ「自転車活用型まちづくり」であることを、本著で力説するとともに、その成功のためのカギも提案している。

 本著は、これまでになかった独創的な視点と着想から、自転車政策の新たな方向性を示しており、地球環境問題への対応、コンパクトシティの形成など、今後の都市政策のあり方に関する議論に一石を投ずる意欲的で、創造性に富んだ優れた著作である。
(学芸出版社、2010年10月出版)


(2)『小布施まちづくりの奇跡』
   受賞著者=川向 正人・東京理科大学教授

 長野県小布施町は、人口1万2000人の小さな町だが、年間120万人以上の観光客が訪れる葛飾北斎と栗菓子で有名な観光地である。本著は、1980年代から小布施町のまちづくりに取り組んできた市村小布施元町長と、隣町の須坂市出身の建築家・宮本忠長氏(日本建築士会連合会元会長=2002〜2008年)が行った「修景」というまちづくりの手法を分かりやすく紹介。伝統的な街並みに固執しすぎず、まちの歴史をまったく無視した再開発でもない。いまあるもの、暮らす人々の思いを大切にしながら、少しずつ景観を修復することで、観光客のリピーターを呼び込むことにも成功している。

 著者は、この宮本氏の功績を引き継ぎ、修景事業を継続していくための仕組みとして、2005年に東京理科大学・小布施まちづくり研究所を、小布施町役場内に設立し、所長に就任。本著では、まちづくりのシンポジウムや、小中学生を対象としたワークショップを開催したり、学生による里道復活プロジェクトなどの活動も紹介している好著である。
(新潮新書、2010年3月出版)

この記事に対するコメント

コメントする















お問い合わせメールフォーム