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分譲マンションは“百年に一度の買い時”?(2009-02-10:住宅・不動産ジャーナリスト・ 目黒孝一)

 2008年は「百年に一度」といわれる米国発の金融危機のあおりで、国内の不動産市況は大幅に悪化した。分譲マンション市場も売れ行きが低迷し、在庫が増加するなど急速に冷え込んだ。今年も引き続き厳しい状況が続く見込みだが、消費マインドは思ったほど冷えていない。昨年の後半から急ピッチで価格調整が進み、今のところ在庫物件限定だが、マンション購入を検討する側にとっては千載一遇のチャンスが来ているからだ。
 確かに、所得の伸び悩や雇用不安という問題はある。しかし、それらを除くと価格の低下、低金利、過去最高水準となる住宅ローン減税、さらにはグレードの高い品質など、買い手側から見ればそれこそ、近来まれに見る絶好の環境が整ってきたといえよう。経済は百年に一度の大不況だが、 大げさに言えば、分譲マンションは“百年に一度の買い時”かも知れない。

 まず、最大のポイントであるマンション価格は、地価と建築費の上昇が正当化されて2006年から上昇を始めた。「新価格」「新新価格」などと言われてピーク時には05年比で2割以上も上がった。結局こうした価格上昇に最終需要が付いて来ず、昨年後半からは価格調整が一挙に加速し、値下げが浸透してきた。2009年3月期からの会計基準の厳格化に合わせて、デベロッパー各社がマンション物件の簿価を切り下げ、販売在庫を市場価格に合わせて値下げ販売したからだ。

 これによって、買い手側にとっては昨年、一昨年だったら買えなかったものまで、今は十分手が届く価格になってきたといえる。
 年明けの販売現場も久方ぶりに客足が戻り賑わった。新聞チラシや住宅情報誌などによって「価格が割安になった、今が買い時」というアナンスメントが周知されるようになってきたためだ。

 一方、マンションの商品性能は販売価格が下がっているにもかかわらず、かつてないほど高いレベルにある。姉歯一級建築士が起こした耐震偽装事件以降、建築基準法が改正されたが、各デベロッパーはこれを契機に安全を確保するためのコストに相当気を使ってきた。中には販売のグロス価格を下げるために内装仕様などを落とす物件も見られるが、それでも基本性能については一度信用を失墜すると命取りになるだけに、各社とも万全の態勢を敷いている。

 さらに購入を後押しする金利と税制だが、住宅ローン金利は今なお超低金利の状態にある。日銀は一時、金利の引き上げを検討していたが、金融危機のあおりを受けて、また一段と下がった。現在の金利水準は2%台後半から3%程度(フラット35)で、借入額100万円あたり月々の返済額は3800円程度。マンションの値下げ合戦で価格が下がったことにより家賃と住宅ローンの支払いが逆転するケースがみられるほど、所得に占める住宅ローン返済の割合はかつてないほど低くなっている。また、過去最高水準となる予定の住宅ローン減税(最大600万円、現行制度160万円)の拡充も購入者にとってはプラス材料だ。新たな住宅ローン減税はその恩恵を丸々受けられるのが年収一千万円前後からと限定的だが、それでも今回は低所得層にも配慮して住民税からも控除できる(9万7500円が限度)措置が盛り込まれたため、減税効果はかなり期待できるはずだ。

 このようにマンションの販売現場は価格低下や思い切った購入支援策によって、一時的に賑わいを取り戻したが、これはあくまでも「在庫処分」限定の現象と理解するのが正解だろう。顧客が関心を示すのは大半が3月までに入居が可能の値下げされた完成物件。完成までにまだ間のある物件については、具体的な商談に入れないのが実情だからだ。

 市場関係者は秋口ごろから登場する予定の“新価格”物件に期待をかけるが、本格回復へのシナリオは今なお見えないままだ。

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