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シルバーマネーは不動産市場を激変させるか?(2008-12-11:日本不動産ジャーナリスト会員・山下努)

 金融危機ばかり注目されていますが、世界的な不動産相場の暴落は2009年から深刻化しそうです。私は今回の金融危機の背景のひとつに「マネーの高齢化」の問題があると感じており、今回はそれと不動産市場の関係について書いてみます。
 まず、不動産の都心ミニバブルは、不動産証券化商品であるJリートの存在を抜きには語れません。もともとリートは海外で発展した金融商品で、不動産取引を地面の取引から解放し、金利をはじめとする金融関係にとても敏感な商品にしたてました。ある意味で、投資家(購入者)にとって、預貯金や株、不動産に投資するような部分があり、これまでにない投資の醍醐味が味わえ、資金運用の選択の幅を広げたのです。

 リート登場の背景には土地神話の崩壊と高齢化の影響があると考えてきました。人口が減少し、経済成長が望めない時代は、土地需要は活発ではありません。工場建設といった土地への直接投資から、資金の運用のために不動産投資になってきたのです。

 不動産を所有しているのは、企業(法人)でも個人でも名義上は「高齢者」が多いのですが、彼らは不動産という資産の流動化によって、収益チャンスの拡大や運用力の評価を狙っていたのです。不動産が株や預貯金のような性格の金融資産に化ける魔法が不動産証券化です。「持っているだけで値上がりする」「更地がいちばん」という土地神話も崩壊したこともJリートには追い風でした。土地の広さや価格ではなく、どれだけその物件が収益を稼げるかという収益還元法で不動産を評価する時代に入ったこともそれを物語ります。

 とはいえ、「高齢化」が土地のミニバブル「父」なら、その「母は超金融緩和時代」だといえるでしょう。ゼロ金利に象徴されるカネ余り現象がバブルを膨らませました。一般に金利が低いと不動産から上がる収益が低くても不動産事業者の手元にもうけが残るからです。だから東京の一等地の地価はうなぎ上りでした。

 低金利の中、融資先や預金者の高齢化に悩む地方のカネが、不動産投資の資金の出し手の役割も担っており、都心のミニバブルに拍車をかけていました。人口減少や高齢化の波に都市部よりひと足にやられた地方マネーは、余剰資金の融資先に悩んでおり、東京など大都市圏に「出稼ぎ」に出ました。地域の信組や信組などから「主な預金者の平均年齢が還暦を超えた」といった声も聞かれました。地銀などの東京支店は、高齢化した地方マネーの吐き出し口だったのです。成長性の乏しい地元企業に融資するには慎重ですが、横並びで購入できるファンドは願ってもない運用先です。

 前回のバブルの傷が大きかった日本の企業セクターは90年代後半からの時価会計、減損会計、連結会計の強化によって不良資産を吐き出さざるをえなくなり、土地は家計と企業再生ファンドが受け皿になりました。90年代に資産を売ってバランスシートをきれいにした企業の資産も、ファンドに移りました。

 銀行にとって、家計の住宅ローンの借り入れは、都市圏の郊外地域や地方では飽和になっており、その意味でも金融機関が抱えたマネーは運用先を求めて都心に出て来ざるを得ませんでした。

 さて、地方や郊外からは量販店(流通業界)の撤退が始まり、地元の自治体やモールに入る地元商店を慌てさせています。見方を変えれば、郊外に出入りするマネーもやはり高齢化しているといえます。「新興住宅街」は「シルバータウン」になりつつあり、お金の「流通」の速度が落ちて、なかなか儲からなくなってきたからです。じつはこうしたマネーの高齢化は、不動産市場に大きな影響を与えます。

 紙幅の関係で、本稿では実証データは省きましたが、私はこれからもそうした構造問題に注目していきたいと思います。

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