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安易に景気対策で、住宅政策を歪めてはならない(2008-11-12:住宅ジャーナリスト・小菊豊久)

購入時期で決まる住まいの資産価値

 住まいを建てたり、リフォームしたり、購入したりするきっかけは、極めて個人的な事情によるところが大きい。子供の出産や成長、親との同居、転勤、家屋の老朽化など、一般経済とはあまり関わりのないところで生じる。それでいながら住宅を取得する際には、一般経済を無視して行うことはできない。購入のタイミングを誤ると人生そのものを台無しにしかねないからである。
 それを強烈に見せつけたのが、1990年前後のバブル発生から崩壊だった。首都圏の新築マンションの平均価格は90年に6123万円に達していたが、 2〜3年の間にいっきに4000万円台まで下落。ピーク時に購入した人たちは、たちまち2000万円の不良資産を抱え込んでしまったのである。

 市場経済では物価や景気の変動はやむを得ない面はあるが、こと住宅市場に関しては、行政府の一貫性のない政策によって、市場を混乱させてきたようにみえる。

住宅購入者は景気対策の捨て駒か?

 住宅税制ひとつ取り上げてみても、毎年のようにめまぐるしく変わり、購入時期によって特別減税が受けられなかったり、受けられても減税額が少なかったりと、公正性が保たれていない。2008年度税制では、与野党の衆参ネジレ国会のため、登録免許税に係わる特例が期限切れとなり、緊急避難的に2008年5月31日までと変則的な延長を行って急場を凌いだ。

 もとより住まいは生活の基盤であり、豊かさを実現するには長年の積み重ねを要する。それだけに住宅政策もまた長期的な視点から安定した施策が求められる。ところがわが国では、住宅政策はもっぱら目先の犒糞せ彪禳瓩僕用されることが多く、そのたびに住宅購入者は翻弄されたのである。

 そしてこのたび米国のサブプライムローン問題による世界的な金融危機、景気後退への対応策として、麻生内閣は定額減税や高速道路料金の低減に加え、過去最大の住宅ローン減税を打ち出している。私は住宅ローン減税そのものに反対ではない。

 ただ、ローン減税のこれまでの変遷を考えると、住宅購入者を単なる景気対策の犲里洞隲當度にしか扱われていないような気がしてならない。

 住宅ローン減税は年々縮小され、2008年末で期限切れになるはずだった。控除額が過去最大だった2001年度からの推移をみると次のとおりである。

◇2001年 6月30日まで……587万5000円
◇2004年12月31日まで……500万円
◇2005年12月31日まで……360万円
◇2006年12月31日まで……255万円
◇2007年12月31日まで……200万円
◇2008年12月31日まで……160万円

 まさに減税の恩恵を得たければ、早く借金をして住宅を買え、といわんばかりである。そして、今回の景気対策では600万円程度の減税が単発的に計画されている。

 繰り返しになるが、住宅政策は長期的な視点から行われるべきであり、購入時期によって損得があっては公平性、安定性を欠くことになる。

 住宅ローン減税を行うのであれば、望ましい住宅ストックの形成に寄与する適用要件とし、恒久的な施策として創設されることを、切に望みたい。

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