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リノベーションは中古住宅市場の活性化の鍵になるか(2007-04-21:住宅ジャーナリスト・ 山本久美子)

 最近耳にする「リノベーション」という言葉。決まった定義があるわけではないが、改装・改修を意味するリフォームに対して、一般的には、現代的な水準に機能を向上させる改修などの意味合いを含むことが多い。
 実際に見学した中古マンションのリノベーション物件では、浴室やリビングを広げるなどの間取り変更や最新設備への交換はもちろんのこと、給湯器を交換したり、給水・給湯・排水管を新規配管したり、エアコンのスリーブや室外機置き場を確保するなど、現代の暮らしに合うインフラの整備を含む全面改修をしていた。

 そもそもリノベーションが注目されるようになったのは、借り手がつかない古い賃貸物件をリノベーションして、以前より高い賃料で貸せる物件に再生したことを契機とする。

 賃貸物件のオーナーから、次第に一般の中古住宅購入者へと裾野が広がり、ブルースタジオやアートアンドクラフトなどの設計事務所に直接リノベーションを依頼するようになる。また、インテリックスやリビタなど、中古マンションを買い取ってリノベーション物件を再販する不動産会社が登場すると、急速に普及するようになり、最近では、ハウスメーカーやデベロッパーの一部でも、リノベーション再販事業に乗り出すところが増えてきている。

こうした再販型のリノベーション物件では、当然ながら改修に伴う費用が物件価格に上乗せされるのだが、一般消費者がチェックしづらい住機能の改修が事前に実施されること、大量発注によって交換設備等が安価で済むことなど、ユーザー側のメリットも大きい。リノベーションした部分について保証を付けたり、アフターサービス体制を整えたりすることで、ユーザーに安心という付加価値を提供している点も魅力だ。

 特に住まいへのこだわりが強く、自分好みの住まいに仕上げたいというユーザーにも、それほどこだわりはないが、安心して割安な住宅を買いたい多くのユーザーにも、リノベーションという選択肢が広がることは、望ましいことだと考える。

 一方、リクルート住宅総研の調査(既存住宅流通活性化プロジェクト)によると、並行検討者や新築住宅購入者が中古住宅を買わなかった理由として、性能や品質に不安を感じることや価格の妥当性が判断できないことなどが挙げられるが、自分が見た印象で品質を判断する程度の確認作業しかしていない消費者の実態がうかがえる。また、リフォーム費用の目安がわからず、かえって新築のほうが安上がりではないかという曖昧な判断をした人も多く、不透明な中古流通市場においてリノベーションは有効だと指摘している。

 フローからストックへと方向転換が図られたものの、中古住宅流通市場の活性化策には有効な手立てが打たれていない状況だ。特に、美観も機能も劣化した築年の古い中古住宅は、良質なストックに再生させる必要があるのだが、リノベーション市場はまだ未整備で、取り組む業者も少ない。言葉だけが独り歩きすることなく、リノベーションの改修内容が適正に評価されるような整備や、良質な業者とそうでない業者が選別できる仕組みづくりなどが進むことを望みたい。

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