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建築確認不況は深刻に(2007-12-14:ジャーナリスト川上湛永)

 東京府中市のある店舗建築現場。鉄骨3階建て、冬日を浴びて8人の職人が外壁の取り付け作業を急ぐ。普通なら、こうした作業は4人ほどで進める。「他の現場が着工できないので、ここに集中ですよ」と現場主任。
 他の現場の建築確認が申請して3カ月たっても下りないので、職人をこの現場に集中して投入している、という。工期の大幅短縮で、施主は歓迎だろうが、工事業者は苦し紛れのようだ。

 05年の姉歯元1級建築士の耐震偽装事件の反省から、建築基準法が改正され、今年6月から施行された。建築確認の在り方に問題ありとされ、建築確認の審査手続きが大幅に厳格化された。

 実際に申請を出したある1級建築士によると、改正されてからの手順は、こうなった。まず事前協議を民間あるいは地方公共団体の確認機関と重ねる。この後、事前審査を受ける。この期間が2カ月。これに対する質疑に2〜3週間かかる。これが済んで、ようやく本申請を提出する。本審査は2〜3週間で、確認が下りる。結局3カ月前後を要する。さらに、今回の改正で、鉄骨や鉄筋コンクリート造など一定の建物については、鉄筋の本数、コンクリートの量など構造計算について、別の構造事務所が二重チェックする制度になった。これにも、2カ月前後かかる。

 一方、建築確認の内容を変更する場合、以前はその部分のページの差し替えで済んだが、再申請は、一から出し直すことになった。改正前は、申請してから2〜3週間で確認が下りたから、予想していたといえ、大変更だ。

 こうした手順の変更について、国土交通省から、内容の細部が審査機関などに事前に十分示されなかったのも、混乱に輪をかけた。

 「相談に行っても、担当者からまだ細かいことは示されていないのでといわれ、申請をためらった」とある1級建築士。こうした様子見も含め、建築確認にブレーキがかかることになった面もある。

 6月ころから、建築確認がまったく下りないという声が、設計士や建築業者から上がり始めていた。住宅やマンションの着工が止まった。設計業界は少人数のアトリエ系事務所も多い。確認が下りなければ、設計料は支払われない。死活問題だ。当然、建築業者も仕事にならない。

 国土交通省によると、9月の新築住宅着工戸数は、6万3018戸と前年同月に比べて、44%減と過去最大になった。戸建分譲やマンション建設の盛んな神奈川県では、分譲住宅着工が半減、分譲マンションは94%も減った。新築着工が減って、木材、セメント、ガラス、鋼材、サッシ、外装材など住宅関連の建材の販売も減少。また、浴槽、ウオシュレット、家電製品などの売れ行きもダウンした。住宅産業は裾野が広いから、景気への影響が大きく、試算では7〜9月期の国内総生産(GDP)を、この影響で0.3%押し下げた。

 まさに建築確認不況だ。

 この事態を受けて、国土交通省は申請手続きを若干簡略化したが、それでも渋滞した確認申請は、一気には下りないとみられる。

 来年以降もこの不況の余波は続くと建築業界などではみるが、このままの申請手続きでいいのか、見直しがせまられる。耐震偽装問題を起こさない歯止め策を緩めることなく、もっと合理的な申請制度をどう構築するか、知恵の出しどころだ。

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