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善管注意義務をめぐる怖い話。(2007-11-08:不動産経済研究所編集部門統括取締役・伊能肇)

 “善管注意義務”― 未熟にも、ついこの間まで不動産業関連法制に限定された信義則のためだけのものだと理解していたのだが、金融商品取引法が動き始めてそうではないのだとわかった。金商法では、投資家保護のためJ−REITだけでなく私募不動産ファンドも適用対象とし、主な規制内容として販売業者には公告規制・説明義務などを、運用業者には忠実義務・善管注意義務などをもとめた。この善管注意義務だが、しばしば不動産関連法制では話題になる代物ではある。無論、善管注意義務違反といった有難くない登場の仕方が大層ではあるのだが・・・。
 マンション管理適正化法というマンション管理会社の業規制などを含んだ法律がある。マンション管理関係での“善管注意義務”をめぐるトラブルは、この法律に根拠を置いているのだが、例えば最近の事例から管理組合と管理会社の軋轢を見てみると、管理組合側から管理事務に関しての善管注意義務違反だとして管理会社が訴えられた内容は契約書類の不備(契約未締結・内容不備・仕様変更の未反映)管理仕様を総会承認を経ることなく変更理事会未承認事項を決算書に勝手に計上―といったものだ。

 契約書の不備については、更新ごとに契約書締結を行っていなかったことなどから、マンション管理適正化法の73条の規定に違反しているとされ、管理会社側にお灸がすえられた。管理仕様の変更は、清掃員の勤務時間が変更されたことにともなうものであり、理事会未承認事項の決算書への計上は非常用バッテリーの交換費用を組合が支払うか、管理会社が持つかというもので最終的には管理会社が支払うことで決着がついた。

 さて、金商法をめぐる善管注意義務違反だが、倉庫として建築確認を受けた部分を事務所に改造し、未使用部分を含め増床の上、使用していたため容積率を超過している物件にかんして十分な審査をしないまま投資法人が資産として取得していた(違法建築物の取得)テナント付の物件について実際の貸付面積を計測しないまま投資法人の資産として取得し、そのまま貸付を行ったところ、テナントからの指摘により、契約面積が実際と比べ約55m2違っていたことが判明した―などの事例が示されている。

 このほかに、デューデリジェンスの不備などでは、「投資法人の資産として取得を予定していた物件の前所有者がすでに収受していた敷金償却収入(入居テナントから預託を受けた敷金のうち返還不要のもの)や投資法人の収入とならない自動販売機の設置料収入について、投資法人が物件を取得した後に当該収入があるものとして見積もられた鑑定評価書のチェックを行わなかったため、当該鑑定評価書において算定された鑑定評価額によって投資法人の資産として物件を取得していた」といった例がしめされており、これは善管注意義務違反というより“収益の偽装”に近く、詐欺事件にもなりかねない内容と言える。

 善管注意義務は、その全体を見ると、細かい説明義務が中心になっていて、かっての成長期を経験したトップには反発したくなるような内容に思われる。たが、時代は大きく変わった。そうした説明義務のようなマネージメントができなければ、これからのトップは務まらない。「赤福」も「白い恋人」もそうした時代に足元をすくわれたのではないだろうか。

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