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団塊世代の住み替え促進に「今」必要なもの (2007-08-10:リクルート住宅総研主任研究員・阿曽香)

 2007年問題と言われる団塊世代の退職時期を控え、この世代に対する新商品やサービスの開発が目立つ。若い時期にはニューファミリー、ニューサーティと呼ばれ、多くのブームを生み出した世代。その層が、ある程度の金銭的余力を持ってリタイアするとなれば、期待が高まるのは当然だ。
 もちろん住宅分野でも同様だ。リフォームや建て替えのほか、この年代層には都市型マンションへの住み替えも見込める。加えて特徴的なのは、行政からも期待が寄せられていることだろうか。「地方へのUターン・Iターン」による地方活性がそのテーマである。リタイア後に海外や南の島に移住した人々を取り上げるテレビ番組も、よく見かける。

 こうして多方面から注目されている団塊層だが、本当に期待通りに動くマーケットなのか。小社住宅総研では改めて住まいに対する意向を知るため、2006年末に団塊世代1500人に対し住宅に対する志向調査を行った。
 
 地方への住み替えマーケットを見てみると、継続居住希望(「そのまま住み続ける」+「リフォームして住む」+「建て替えして住む」)が73.4%で、住み替え希望は18.3%だった。またそのうち関東地方以外に住むと回答した率は10.6%。地方居住が期待できる割合は、最大でも団塊世代人口の約1.8%程度だ。

 では完全な住み替えでなく、マルチハビテーションならどうだろうか。まず、「複数居住の意向があるか」については「ぜひ複数居住したい」6.7%、できれば複数居住したい29.9%と、計36.5%が意向あり。うち49.3%が「複数居住は実現可能」と回答している。

 居住希望エリアではトップが「海辺のリゾート、別荘地(36.5%)」、次が「高原リゾート、別荘地(31.4%)」「海外(17.7%)」だが、4位からは「農村、山村(16.2%)」「生まれ故郷、出身地(13.7%)」「漁村・離島(11.7%)」と続き、これらは地方の都市部への居住意向よりも数値が高い。アクティブで好奇心旺盛な団塊層には、東京圏の持ち家を維持しながら自然の暮らしも楽しめるという欲張りなマルチハビテーション型が、しっくりはまるということだろう。

 ただ、すでに周知の通り男女による志向の差には注意したい。自然の中での暮らしを求める男性に対し、女性は「都会の文化的な生活を楽しみたい」「買い物や食べ歩きなど街歩きを楽しみたい」と現状の都市生活を強く支持する傾向が強く、この男女差をどう埋めていくのかが問題だ。

 そしてそれ以前に、何よりも不足していると思われるのが地方暮らしに関する情報提供だ。インターネットで地方への住み替え関連の情報を探しても、不動産(住宅)の情報しか見当たらないというケースも多い。ブログやHPなど個人からの発信情報は探せるが、網羅性は低い。質だけでなく量についても、海外への移住やロングステイに関するもののほうが多いというのが現状だ。

 団塊世代のマルチハビテーションへの高い意欲が、有名リゾート地以外のエリアにも波及していけるか。各自治体では受け入れ体制の整備などを進めているが、並行して団塊層が「欲しいと思う情報」を「広く」「分かりやすく」発信することも重要な施策だと思う。

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