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韓国の住宅バブルは崩壊するのか(2007-03-08:日本不動産ジャーナリスト会議会員・山下努)

■■山下 努■■
 韓国では、住宅バブル崩壊が目前に迫っている。落日のノ・ムヒョン政権とともに韓国経済の大混乱要因になりそうだ。日本、中国、米国など、世界中が韓国の不動産バブルの動向をかたづを飲んで見守っている。
 韓国の不動産についての状況は日本のバブルの崩壊の過程と対比すると興味深い。

 バブル経済崩壊後、十数年にわたって地価が下がり続けた日本は、最近東京など都心のごく一部で地価が上昇し、「土地神話復活」というような威勢のいい声も聞こえるようになってきた。しかし、この現象は、下がりすぎたごく一部の一等地が若干値を戻した程度で、全国のほとんどの地域では地価下落は止まっていない。下落幅が近年拡大している市町村も少なくない。

 すでに日本では、生産人口(15歳〜64歳)が減少に転じて10年を超えた。2005年からは総人口の減少も始まった。韓国と並んで日本の少子化も世界最速、高齢化も世界最速という状況にみまわれている。若者の就職難は、結婚難を意味し、晩婚化と「無子家庭」を急増させる。このため、世帯数は若干さらに増えるかもしれないが、世帯を構成する家族は、どんどん減少する。

 こうしたなか、すでに両国とも住宅数は世帯数を上回っており、今後も「家余り」という状況は解消できないと思われる。若者や子供、若夫婦は、どんどん減っていくからだ。こうした状況のもと、地価がどんどん値上りする時代はあり得ないだろう。不動産とはそこに住む人の価値が価格を決める「人価」である。

 両国は、国土が狭いのに製造業の空洞化が著しい。鉄鋼や自動車など、古い産業は急拡大する中国経済の需要で活況にあるが、それも一時的なものだろう。円高ウオン高で両国の賃金は高止まりしており、これから急成長しているインドや中国の労働者と競い合うことを考えれば、国民所得は当面頭打ちの様相を呈するだろう。産業の先端部分では、両国は競い合っているが、中国など途上国の追い上げも厳しい。

 ノ・ムヒョン政権は韓国史上まれにみる支持率低迷に苦しんでいるが、やはりより深刻なのは、高騰する住宅バブルの崩壊という時限爆弾だ。住宅価格が暴落すれば韓国国民の怒りはノ政権に向けられるのは間違いない。これは恐ろしい話である。

 政権トップのリーダーシップ不在と政策の誤りで、日本はバブル崩壊後、10年余りの不況が続いたが、韓国も2007年は極めて際どい状況にある。春先にも住宅バブルが崩壊する可能性があるという指摘もある。日米欧が近年金利引き上げに動いたのに低金利政策を続けたツケは大きい。

 首都ソウルの江南(カンナム)地域では、億ションも珍しくなくなったと聞く。

 韓国では、昨年から不動産といえば、昨年に住宅価格が約3割も値上がりした「バブル・セブン」という地域まであるそうだ。バブル・セブンは、ソウル市の江南区、瑞草区、松坡区、陽川区、京畿道の盆唐区、坪村洞、龍仁市の七地域を指す。ソウル市のマンション価格や全国の住宅価格は、2003年の秋以降、政府の各種対策にもかかわらず急騰し、家計の住宅関連の借金も、米国の住宅バブルと同じように大きく膨らんできた。

 韓国は、90年代後半の通貨危機で、金融市場にIMFが介入し、資本市場は米国色が強くなった。このところ堅調な韓国株式市場も、米国市場と連動して動くようになっている。資産市場の両輪のひとつである不動産市場だけが、米国からの影響を受けないということはない。すでに米国は、2004年に低金利政策から転換。巧みな金利操作で政策金利は1%から5%に引き上げたが、依然として住宅バブルの軟着陸政策が米国の景気のカギを握る。日本も2006年にゼロ金利を解除している。

 90年代後半の日本の土地バブルは、銀行が企業に過剰融資をした結果、法人がリードしたバブルだったため、家計の痛みはそれほど大きくなかったが、韓国ではこの反対で、バブルが崩壊すると家計と家計に貸し付けた銀行が窮地に陥る構造にある。

 失政を攻撃したい韓国野党陣営にしても、バブル処理が中途半端なまま政権を引き継いでも、バブルが崩壊した後に政権を引き継いでも、国民とともに塗炭の苦しみを味わう可能性が高いだけに、不動産バブル爆弾を北朝鮮の核問題と同様にうまく扱わなくてはならない。
■■山下 努■■

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- | 2009/04/21 11:30 AM
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