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都市再生への大きな期待と課題(2003-06-03=ジャーナリスト・霊山智彦)

 東京都心に相次ぎオープンしている大規模再開発地域の集客施設が、そろって活況を示している。東京駅前の新しい顔へと昨秋大変身した丸ビルに続き、旧国鉄汐留貨物駅跡に今春お目見えした汐留シオサイトや品川駅東口のやはり旧国鉄操車場跡再開発で登場した品川グランドコスモス、4月下旬に開業したばかりの六本木ヒルズなどはこのGW期間中、どこも大にぎわいだった。
 中でも、六本木ヒルズではGW期間中に延べ300万人以上が詰めかけたそうで、一部の人気レストランでは入店待ち2時間といった光景も見られた。300万人というと、例年最高の人出を記録する博多どんたくの200万人も上回ったことになる。

 長い不況で消費者の財布ひもは固くなる一方だし、海外旅行はテロ、戦争の後も新型肺炎の恐怖にさらされている折。大型連休とはいえ暦通りなら3連休が最長なのだから、賢明な消費者が最たる「安近短」の東京新名所に集中したのは当然、と言ってしまえばそれまでかもしれないが。

 しかし、この際はまず、これら民間側のまちづくりリーダーたちに敬意を表しておきたい。バブル崩壊後は都市開発への意欲というものがすっかり冷え切っていたご時世に、これだけの大型投資を敢行したのだから。しかも、オフィスビル過剰供給による“2003年問題”やさらにその先の“2010問題”の危機も論議されている最中なのだが、こうした東京新名所ブーム創出はどうやら、首都圏で近年ますます顕著になっている都心回帰や東京再生重視の方向を加速させる、という程度にとどまらず決定付けるような役目を果たしていると思えるのである。

 たとえば、六本木ヒルズの計画決定から完成まで実に17年間もかけた森ビルの森稔社長はいつも、「東京都心をただ、<働く>だけの場にしていてはいけない。<住む><遊ぶ><憩う><学ぶ><創る>といった多様な機能が複合した街にし、何よりも世界中から人が集まってきて、新しい文化や情報を発信する国際競争力のある拠点にしない限り、真の日本再生はない」と言い続けていたものだった。

 そして、こんな状態ではまちづくりに対する民間側エネルギーがそがれてしまうとして、思い切った規制緩和に踏み切って抜本的都市構造の転換を図ろうという趣旨のアーバン・ニューディール政策を提言した。これがやがて都市再生特別法に発展し、現在、全国44地域約6000任婆唄岾萠呂鯑各した都市再生緊急整備プロジェクトが展開されるきっかけとなったことは知られている。

 ただし、これらプロジェクトの先行モデルでもある東京都心部の大規模再開発が順調に滑り出したからといって、各地でも万々歳というわけにはもちろん行かない。地域の熱い期待のもとに、さまざまな試みが練られているところだが、いずこも簡単には片付けられない課題が山積しているからである。

 行政改革や地方分権などの例を見ればだれもが思い知らされるように、既存の権益を侵されることに対する官僚などの抵抗は根強く、主役を務めるべき民間側パワーの弱っている地域が多い。目標が経済の活性化に偏り、都市計画面のフォローが不十分という批判が出ている地域も少なくない。そういえば、東京新名所のいくつかについても、巨大ビルを詰め込みすぎているとの声がちらほら聞こえてくる。

 それ以上に気になるのは、災害に対する危険度が高く、環境や健康上からも根本的で早急な手当てが必要と各方面から長年指摘されている密集市街地の大部分が依然、こうした都市再生のメニューからも遠い存在として放置されていることである。東京をはじめ日本の主要都市が本当に世界の人々を魅惑するようになるのは一体、いつのことになるのだろうか。

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