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住宅(内需)中心の経済構造改革は、いつ訪れるのか(2003-12-03:(株)大京広報部長・大越武)

お寒いわが国の住宅政策
 いつも、この時期(11月下旬)になると、来年度の住宅・土地税制改正に向けた論議が大詰めを迎え、12月中旬の、「与党・税制改正大網」決定まで連日、要望実現化の激しい攻防戦が繰り広げられる。
 今年は、11月9日に衆議院の総選挙があったがため、論議が煮詰まらないまま短期決戦で終息しようとしている。

 今年の住宅税制改正の重点テーマは、「住宅ローン減税制度の延長」問題。昨年のテーマの「住宅取得資金贈与特例」の非課税限度額の3,500万円までアップの要望実現と比べると、かなり小粒のテーマだが、それくらいのテーマで大騒ぎの攻防をしているほど、情けないと言おうか、はなはだお寒い住宅政策の現状である。

住宅を内需経済のけん引役に

 お寒いのは、住宅政策のみならず、肝心の住宅投資がお寒いまま、冷え冷えとした状況下にあるということである。何もかつての、90年代前半までの活発な住宅投資を再現しろと言うつもりはないが、基本的な視点として、住宅がせめて景気を下支えするくらいの活発な投資経済ができないものかと、憂えている。住宅が、内需活性化のけん引役として日本経済の再生に寄与できるよう、国の一貫した住宅政策が必要ではないかと、常々考えているからである。

外需依存(輸出主導)型経済構造からの転換を

 「失われた10年」どころか、15年、いや20年と、このままでは続きかねない日本経済の構造不況は、今もって極端な外需依存(輸出主導)型経済構造からの転換が、できていないことに由来している。日本経済の主役は、相も変わらずクルマ産業、エレクトロニクス産業である。

 これらの輸出産業が生産拠点をダイナミックに中国に傾斜させつつ、外需でかせぐ経済構造は、アメリカ帝国主義の景気動向に一喜一憂せざるを得ず、現状のように輸出好調となると、すぐさま円高となり、政府・日銀は何兆円ものカネを投じて「円売り・ドル買い」の為替介入をし続けるという“バカの壁”の繰り返し。

 こうした点からも、輸出構造に代わる住宅投資を中心とした内需が、日本経済をしっかりと下支えしていくことが、重要なのである。日本経済は、輸出だけでは片肺飛行であり、活発な内需景気があっての二本立て経済こそ、ゆるぎない日本経済の安定した成長の方程式であろう。

 加えて、従来型の公共事業中心の内需喚起策は、財政上からも行き詰まっており、建設国債を発行してでも地方経済を活性化させる必要もあろうが、建設国債とて赤字国債の一種だし、そうやたらとふやせるものではない。だからこそ、内需喚起の切り札には、最も波及効果の大きい住宅投資が必要であって、それを政策的に下支えしていく一貫した住宅政策が必要なのである。

政府の住宅政策面での問題点
 思うに住宅は、産業構造が大きく変革している今日を迎えてもなお、クルマ産業やエレクトロニクス、情報産業のような日本経済の基礎・基盤産業として位置付けられていないという大きな問題がある。住宅政策の場当たり性、一貫性のなさは、住宅産業が日本経済の中心に位置する産業として、経済社会的にも、政治的にも全く認知されていないせいでもあろう。

 政府の政策は戦後、重化学工業、重厚長大企業を育成し、日本経済をGDP第2位のところまで引っ張り上げ、その後エレクトロニクス産業、クルマ産業のような大量消費に直結する産業を成長させ、今日ある情報産業もしっかりと後押しして、基幹産業となってきた。

 これらの産業を“日本株式会社”として、旧通産省(現経済産業省)が、日本経済の中核産業としてリードし、そしてあらゆる政策を総動員して、それら産業を支援してきたのに対し、ひとり住宅産業だけは、旧建設省(現国土交通省)の担当ということで、そのラチ外におかれてきたということが、今から振り返ると、住宅産業が砂の中に水をまくがごときの中小業界に甘んじられてきたのかな、と非常に残念に思っている。

 住宅がもし、クルマやエレキ産業のような日本経済の中での重要産業として位置付けられてきたならば、おそらく今日とは違った展開になっていたであろう。

 それを代行したのが、一つは日本住宅公団(現都市基盤整備公団)や住宅供給公社に代表される公営企業体の住宅政策であり、もう一つは、需要者サイドの住宅取得金融の面からと住宅税制面からの後押しであって、これらはいずれも住宅産業の育成という観点からの住宅政策では全くなかったのである。

住宅を社会の基盤産業として育成へ

 21世紀に入り、公営企業体が行き詰まり、住宅金融公庫も一定の役割を終えて、衣替えしようとしている折、住宅を内需の中心的な柱として育成し、社会の基盤産業として位置付け、そのような観点にたった住宅政策面での機動力ある展開を図っていく必要があるのではなかろうか。その日が、いつ頃やってくるのか―。

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