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シニアビジネスの難しさについて(2004-04-07:日立キャピタル(株)業務役員マーケティング部長・大久保恭子)

昨今シニアビジネスを検討する企業が増えているが、多様化したシニアニーズに応えることは案外難しいようで、成功事例はそう、多くはない。
 そこで、最近実施したシニアのグループインタビューやいくつかのマクロ調査を踏まえて、シニアの暮らしに対するニーズについて述べてみたい。
退職後の経過年数で異なる退職者の暮らし

 シニアといっても幅が広いので、ここでは60歳以上の退職者で、かつ男性をシニアと限定して、話を進める。

 退職者の暮らしにとって、関心の高い分野は1に「健康」、2に「家計・財産」、3に「無為に時間を過ごさないための方法(趣味・勉強・就業・コミュニティ参加)」である。

 ところが、上記三大関心分野におけるニーズは、退職後3年以内と5年超では、大きく異なるのである。その違いは退職後の生活の中心となるものの形成度の違いからくるものと思われる。

 退職3年未満のシニアは、まず相当の勢力を注いで、退職後の新たな生活基盤を構築するために、仕事の替わりとなる趣味・勉強・コミュニティ探しに奔走する人が目立つ。グループインタビューの際、1週間の生活時間割を記入してもらったが、起床した後は夕方まで、パソコン、書道教室、ゴルフ練習などで、1日のスケジュールがぎっしり埋まっている人が多い。

 一方、退職後5年超のシニアは、起床後犬の散歩、家事、たまに、ゴルフ・旅行という記載はあるものの色々な趣味の教室へ参加する人の比率は、随分低くなっている。退職後、3年程度は色々なことに挑戦し、仕事に替わる生きがいを探すものの、5年くらいたつと、自然と自分のペースにあった生活に落ち着いてくるようである。

 この違いが三大関心分野に対するニーズにも色濃く反映しているようだ。次に各分野のニーズについて、具体的な違いを述べてみる。

退職3年未満のシニアの健康はまず「運動の習慣化」から始まる

 3年未満のシニアは、「辞めると家ですることもないので、太ってくるし、今日が何日の何曜日かも分からなくなってくるので」と、定期的に外出することがなくなることで、運動を習慣化させなければ、という危機感をもっている。

 5年超のシニアは、ウォーキングなどの定期的な運動をおこなっている人が多い反面、加齢により、実施不可能な運動や不調になる箇所が出てくるために、「糖尿病の会に参加して指導を受けました」「アメリカで盛んな健康医学に関心があります」といったような専門家からの適切なアドバイスが欲しいと考えている人が多い。

 したがって、シニアの健康ニーズにきめ細かく対応しようとすれば、前者へは、その人の好みや体力に応じた各種スポーツやスポーツクラブ・施設の紹介、専門インストラクターの紹介は欠かせないサービスだろう。後者に対しては予防医学的見地からの食事・運動・精神面の健康情報や相談はサービスとして欠かせないということになる。

人生の終末までに必要な財産管理上の事項を気にする退職後5年超のシニア

 また、家計・財産管理についても、3年未満のシニアは、これまで、じっくり検討する時間もなかったために、生活資金を含めてどうマネープランを立てて良いか分からない。専門家に相談したいとは思うものの、具体的にどんな内容を誰に相談してよいか分からないという人が多い。こうしたシニアが喜ぶサービスとしては「資産管理に関するセミナー」の開催やファイナンシャルプランナーなどの専門家に対して相談できる会を設け、医療保険の見直しなどのアドバイスが考えられる。

 5年超のシニアになると、年金を中心とした家計のやりくりには一応慣れてきたという人も多く、生活資金に対する不安より、病気になった場合の具体的治療費の支払いや、自宅を売却して、有料老人ホームへ入る試算、遺産相続、お墓の管理など人生終末までに必要な事柄についての不安が多く、そうしたことを解消する相談サービスが求められている。

 退職後の年数をとってみただけでも、このような違いが見られるシニアである。これ以外にも夫と妻の違い、子供との同居の有無、地元出身かそうでないかによるコミュニティへの参加の有無、もちろん職歴とそれに伴う年金額・貯蓄額の違い等々、彼らが持つ多数で多層な条件を乗じた分だけ多様なニーズが生じる。そのニーズにきめ細かく対応するビジネスというのは相当難易度が高いビジネスとの実感を強くもつ次第である。

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