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いま、最新の住宅トレンドは?(2004-05-11:住宅ジャーナリスト・小菊豊久)

都心回帰傾向が生んだ「都市型プラン」
 土地を買ってその上に希望の注文住宅を建てる――。
 かつては夢のまた夢と思われていた手法で、マイホームを建てる人が増え始めている。しかも立地は都心寄りの至便な地域が多い。ここ10数年続いている地価下落によって好立地の土地が手に入れやすくなったためだ。「都心回帰」傾向はマンション市場で言われて久しいが、一戸建て・土地市場にも及んでいる。
 ただ、土地価格が以前に比べて割安になったといっても、やはり利便な立地となると、敷地が狭小だったり、隣家と接近しているケースが少なくない。そのためせっかく建物を建てても「狭い」「暗い」「使いづらい」ということになりがちだった。

 この難問に対してハウスメーカー各社では、長年培ってきた設計力を駆使して、敷地面積が100平方m未満でもゆとりをもって暮らせる都市型プランを開発し、相次いで発表している。

 各社のプランに共通しているのは、吹き抜け空間を大胆にとって、自然光がたっぷり入るようにしている点だ。

 なかには吹き抜けの天井高を最大約7m取って開放感を出している例もある。このプランは平日忙しい共働き夫婦が、週末などに夫婦一緒に料理をしたり、ホームパーティを楽しんだりする生活提案が盛り込まれたもの。キッチンを家の中央に据え、ダイニングと一体化させたスペースに吹き抜けを設けている。

 大きな吹き抜けがあるリビングに、スケルトン構造の階段を配するのも最近の流行だ。素材は透明感のあるアルミとアクリルパネルなどの組み合わせ。外からの自然光を遮らず、視覚的な広がりがあり、1階も2階も明るく開放感のある空間をつくりだす。

 隅に追いやられがちだった階段をオープンにすることで、家族の気配が感じられるうえ、シンプルなデザインはインテリアにもなる。
 さらに収納部分の扉や間仕切りも、半透明の素材を使うことで奥行きを感じさせるというのも、最近のトレンドだ。

 このほかの都市型プランでは、70平方m未満の敷地にも建てられるホームエレベーター付きの鉄筋4階建て住宅や、自宅兼事務所などに使える「離れ」を設けた3階建て住宅などもあり、選択肢は広い。

住宅取得適齢期に差しかかった団塊ジュニア

 都市型プランは、「都心回帰」傾向と相俟って、団塊ジュニアを意識したものでもある。団塊ジュニアは71年〜74年生まれのおよそ800万人の大集団。この世代が30歳代となり、一次住宅取得層に仲間入りしはじめている。
 03年に発表された団塊ジュニアをターゲットにした各社の商品企画を見比べると、共通する点が多い。

 第1点は、冒頭に挙げたように敷地か狭く、密集地にあっても対応できるプランになっていること。

 第2点は、外観デザインがシンプルなこと。装飾的なものを削ぎ落とし、直線と曲線の組み合わせによって構成されているものが多い。色調もモノトーンが主流だ。

 第3点は、平面プランが開放的で連続性のある空間となっていること。親しい友人を招いて、大人数で料理を楽しんだり、つくりながら食べるパーティができるような、人を招くことを想定しているものが多い。

 たとえばダイニングを家の中央に配置し、キッチンには朝食などを簡単に済ませられるサブダイニングが置けるスペースが取ってある。リビング脇にはネオジャポニズム風のタタミルームを設置。これらの居室は可動式の間仕切りによって仕切られているので、場合に応じて大きな空間にすることが可能だ。

 第4点は、インテリアがシックでシンプルなデザインであること。色調もダーク&ライトなどのモノトーンで構成されたものが多い。デザインを控え目にすることで、そこに暮らす人が選んだ、照明、カーテン、テーブル、ソファ、絵画、置物などが映え、犲分らしい住まい甅犲分たちの感性を表現する場瓩箸覆襦

「家の中にいても四季を感じたい」

 団塊ジュニアの上の世代に位置する、現在のボリュームゾーンをターゲット層にしたものに犹裕┐魎兇犬覘瓩鬟董璽泙砲靴織廛薀鵑ある。

 いまや高気密・高断熱の住まいが主流となっているが、このプランでは意図的に外気を取り込めるように工夫されているのが特徴だ。リビングの南北に大きな開口部を設け、吹き抜けの天井にはトップライトが設置されている。天気のいい日に窓を開放すると、季節を感じさせるそよ風が室内を吹き抜け、時を告げる心地よい日差しが部屋を包む。

 このリビングに連続する形で、半戸外には団らんスペースが用意されている。床材にはウッドデッキを採用。テーブルなどを置けば屋外でのバーベキューが楽しめる。日差しが強いときのために日陰をつくる開閉式の日よけと、外部の視線を緩衝する木調のついたてが設置されている。

 京都などにみられる町家の要素を取り入れたプランも好評だ。門扉から玄関までのアプローチに人工の小川を流したり、縁側を設けたりして、回廊のような雰囲気を演出している。

 このほかLDKの窓側の一角にテラスのような土間を設置したものや、2階部分の主寝室脇に大型のバルコニーを設けて、ガーデニングをしたり、日差しを浴びてゆったりくつろいだりできるものもある。

一戸建てにも免震システムを導入

 住宅の基本性能は、ここ10年ほどの間に目覚ましい発達を遂げている。その背景には95年の阪神大震災を契機にして、耐震性、耐火性、耐久性などに対する関心が高まるとともに、法制面などから品質向上を促したことが大きい。98年の耐震基準の見直し、99年の品確法(住宅確保の促進等に関する法律)の制定、03年のシックハウス規制などが挙げられる。

 これら一連の動きのなかで、トピックスといえるのが、一戸建て住宅にも「免震システム」が導入されたことだ。

 免震システムとは、建物と基礎を特殊な装置(免震装置)によって分離し、建物に伝わる地震のエネルギーを大幅に低減する構法のこと。地盤が揺れていても建物にはほとんど伝わらないので、建物の到壊はもちろん、窓ガラスの破損や家具の転倒による事故を防ぐことができる。ちなみに阪神大震災では、全半壊や火災を免れた住宅でも、家具や電器製品の転倒・落下によって下敷きとなり、逃げ道をふさがれる被害が多発した。

 優れた構法にも関わらず、これまで導入例がマンションやオフィスビルなどに集中していたのは、一戸建てに導入が難しかったためだ。既存の免震装置は、円盤状の鉄板とゴムを重ね合わせた積層ゴムを使うのが一般的だが、積層ゴムは重い建物に効果はあっても、一戸建てのように軽量な建物では地震力を吸収しきれず、充分な効果を発揮できなかった。

 このたび開発された免震構法は、家の土台に据え付けたボールベアリングが、すり鉢状になった受け皿の上をゆっくり転がることで、地震の揺れを受け流し、地震収束後は完全に元の位置に戻る。

 木造、鉄骨造、軽量コンクリート造など、どんな建物構造にも適用できるため、今後は免震システムを導入した一戸建て住宅が増えていくことだろう。

室内の空気環境を清浄する

 住宅建材などに使用された化学物質が原因で、吐き気やめまいなどの症状を引き起こす「シックハウス症候群」。シックハウス規制が盛り込まれた改正建築基準法が03年7月から実施されたこともあり、空気清浄機能を強化した住宅が、相次いで登場している。

 建築基準法の主な改正点は、.轡奪ハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドなどの有害物質の使用制限・禁止24時間換気システムなど換気設備の設置義務の2点。

 空気清浄機能付きの住宅では、化学物質だけでなく、アレルギー症患の原因とされる花粉やダニの死がい、カビなどを除去してくれる。除湿機と組み合わせた多機能の24時間換気システムに、ほこりを除去するエアフィルター、アレルギーの原因となるアレルゲンを不活性化する花粉フィルター、窒素酸化物の8割を除去できる脱臭フィルターが装備されている。

「光熱費ゼロの家」も登場

 地球環境の保全のためにも省エネルギーの重要性が叫ばれているおり、「光熱費ゼロ」システムを塔載した住宅が注目を集めている。

 このシステムの仕組みは、昼間のうちに大屋根に設置した大容量の太陽光電池で電力を蓄え、余剰電力を地域電力会社に販売し、夜間の電気代を賄うことで、光熱費の支出が相殺されるというもの。一方、消費電力を抑えるために省エネルギータイプの給湯機とオール電化を組み合わせている。

 開発した事業会社の試算によると、延べ床面積144平方辰離皀妊襯廛薀鵑両豺隋同規模の一般住宅に比べ年間24万円以上の光熱費が削減できる。このシステムを塔載する際にかかる初期投資も13〜14年で回収できるという。

防犯対策は窓ガラスから

 防犯対策もこれからの住宅に求められていく要素だ。

 最近は特殊工具を用いて玄関ドアなどをこじ開けて侵入するピッキング犯がたびたびニュースに取り上げられていることもあって、施錠を高性能のものに取り替えたという家庭も多いのではないだろうか。ところが、空き巣狙いの侵入方法の内訳をみてみると、実はガラス破りが圧倒的に多い。01年に警視庁が行った調査によると、ガラス破りの66.4%をトップに、無締まり19.5%、ドア錠破り2.1%、ピッキング0.6%と続いている。

 ガラス破りの侵入手口は、バールやハンマーなどで窓ガラスを破壊する大胆なものから、ドライバーなどで窓ガラスの隅をこじ破り、クレセントを回して解錠するというものまでさまざま。

 窓ガラスからの侵入を防ぐには、窓ガラスの防犯性能をアップさせて、侵入を諦めさせることが有効だといわれている。5分以内で侵入ができなければ70%近くが「諦める」との調査があることから、破壊するのに時間がかかり、かつ大きな音がするガラスにすることがポイントになる。

 そこで最近は、1階の全窓に対して、ガラス破りに高い抵抗力を発揮する「防犯複層ガラス」を標準装備した住宅が増えている。これは2枚のガラスの間に強靭な中間膜を挟んだものなので、ドライバーを使ったこじ破りなどを防止するのに有効だ。

 また、オプションで、侵入者をキャッチするとライトが点滅する「センサーライト」や、暗くなると自動点灯し、人を感知すると明るさが増す「人感センサー付きライト」を設置する人も多い。

(日本経済新聞2004年元旦号別刷り「住宅特集」掲載より抜粋・一部改訂)

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