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河津桜(2006-03-29=経済ジャーナリスト・木村平三九)

 3月初旬、南伊豆を流れる河津川に、『河津桜』の花見としゃれこだ。ちょうど満開。
 河口から上流4キロまで、川沿いの堤防を紅い花木が連なり、なかなかの景観である。寒さひとしおだった今冬だけに、ひと月早い桜の花見に心が弾んだ。
 この「河津桜」の賑わいの出発点は、河津川の土手に生えた一本の幼木に始まるという。昭和30年代のはじめ、土地のひとが散歩がてらに見つけ、 家に持ち帰って育てた。「寒緋桜」と「大島桜」が自然交配して生まれたという『河津桜』は、2月には紅い花を咲かせる。

 幼木はやがて成木になり、そこから挿し木で増やされ、河津町の家々の庭に広まり、そして町民の手で河津川に植えられていった。

 早春を彩り、多くの観光客を集める『河津桜』は、河津町の人たちが50年の時間をかけて、自然発生的につくり上げた傑作なのである。

 リゾートといえば、行政主導の巨大なハコ物は多くが破綻の危機にあり、その責任もどこかにいってしまった。本当に情けない。

 景気がほぼ15年ぶりに回復したとはいえ、大半の観光地は、昭和60年代にくらべて来客数が60%と低迷し、不振のどん底にある。高齢化時代のいま、リゾートそのものの必要性はだれも否定はしまい。それなのに、なぜ不振をかこつのか。

 『河津桜』のように地域の特性を生かし、個性ある手づくりのリゾートはひとつの回答ではないのか。リゾートといっても範囲は広い。リタイアする団塊の世代の「田舎暮らし」を支援するのもいい。彼らは過疎地の住民にくらべて、老後とはいえ、平均所得は高いと統計は示している。空き家の活用にもなる。

 リゾートはなにも、観光地だけのものではない。自分が住む街でもできる。四季の花を植え、公園を整備し、美しい街をつくれば、心はおのずと豊かになる。環境に優れた街は地価にも反映する。

 「軽井沢」といえば、日本を代表するリゾート地で、西武鉄道グループが70年をかけて造りあげたものだ。万人が認めるようなリゾート地は5年や10年ではつくれない。東急電鉄が手掛けた「田園調布」もまたしかり。

 人口減少の流れが定着した。悲観論一色だが、社会資本はそのままで、人口が減るなら、住まいや暮らしはゆとりある方向に向かう。人口減少にはプラスとマイナスがともなう。ならば、プラスの面を考えよう。

 リゾートづくりも街づくりも、カネをできるだけかけずに、手間をかけ、時間をかけて、市民自らの手で考え、実行し、ゆったりとした暮らしの場を実現したいものだ。

 余談だが、『河津桜』の花見の宿は、湯ヶ野温泉にある川端康成ゆかりの「福田屋」にした。一高生(旧制)だった康成は、渓流のむかいにある共同浴場に目をやると、裸身の踊り子が康成に手を振った。小説「伊豆の踊り子」のクライマックスだ。

 驚いたのは、その共同浴場がいまなお健在で、湯ヶ野に住む人たちにこよなく愛されていることだった。

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