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まちづくりで活躍を期す不動産カウンセラー(2006-06-23=住宅新報社不動産鑑定編集長・柄澤浩)

◆不動産の専門家としての立場から

 不動産鑑定士は不動産取引や資産評価の際、その不動産の現在価値がどれだけあるかということを鑑定評価するのが本業です。一般住宅などの場合は、売買時に鑑定評価を依頼するケースはほとんどありませんが、まとまった土地や複雑な権利関係にある不動産、さらに企業・法人絡みの不動産取引やJ-REIT(不動産投資信託)の取引、公共事業関係の不動産売買では切っても切れない関係にあります。このほか、競売不動産評価や係争に関する評価など鑑定評価の仕事は意外と幅広い分野に及びます。
 これらが不動産鑑定士の本業とすると、その周辺に位置している業務が不動産のコンサルティングとかカウンセリングと呼ばれる分野です。小は価格に対する意見報告や、不動産の権利関係などを調べるデューデリジェンス(詳細調査)から、大は地元住民や行政などの関係と一緒に行う再開発事業やまちおこし、村おこしと呼ばれる分野のコンサルまで、こちらも幅広い活動領域があります。地元に根ざした不動産の専門家として、直接的な利害関係の発生するディベロッパーや建設会社とは違った立場で、積極的に地域の活性化、プロジェクトを推進する役割を担おうとして、このほど正式に旗揚げしたのがNPO法人日本不動産カウンセラー協会(略称;JAREC、理事長・増田修造大和不動産鑑定会長、始動時会員約450人)です。

 1989年に不動産カウンセラーの名称を掲げ、発足した任意団体・日本不動産カウンセラー会を発展的に解消し、5月下旬に新組織に改めたものです。不動産カウンセラーとしての仕事を、従来の有効活用などの業務から一歩も二歩も幅を広げ、様々な不動産と都市の問題に対応し、地域に役立つ組織体にしようというのが狙いです。具体的には各地で大きな問題となっているまちの活性化、まちづくりに主眼をおいて活動していこうというものです。協会の特別顧問に前三重県知事で早稲田大学大学院教授の北川正恭氏と、三井物産戦略研究所所長・(財)日本総合研究所会長の寺島実郎氏を迎え、今後、まちづくり分野で関係する様々な異業種、弁護士、会計士、建築士などの他の資格者(士業)を会員に募りながら、より実践的な団体として運営していく方針です。

◆全国各地にあるまちの悩み

 まちづくりは、主役は地元住民(権利関係者)や地元自治体であり、その計画を具体化させるためにカウンセラーやコンサルタント、プランナーと呼ばれる人たちの役割があり、さらに資金を提供したり、リスクをとる人たち(ディベロッパー、建設会社など)、進出する企業(量販店など)の参画があって初めて、推進できるものです。地元の意向、熱意と具体性がベースになるわけですが、それを実現、推進するにはカウンセラーやプランナーなどの力は欠かせません。地元で「先生」と呼ばれる不動産鑑定士ですが、不動産カウンセラーとして本当の力量が問われるのはこれからです。

 国土交通省の平成18年地価公示で明らかになったように、東京、大阪、名古屋といった大都市は投資需要が復活、中心市街地や優良住宅地では地価が上昇傾向を強める一方、地方都市はなお下落が続くといった格差の広がりが指摘されています。投資資金が集まりやすい大都市圏でも、効外部を中心にシャッター商店街が広がっており、地方と同様の悩みを抱えています。いつの間にか、住みにくく、しかも寂れてしまったまち。まちの活性化、まちづくりは大都市の中心部を除くと、全国共通の願いともいえます。車社会に対応できる若者層と、そうでない高齢者の集団の存在。賑わいを取り戻すにはどうしたらいいのかです。

◆現実的なビジネスモデルを

 JARECの特別顧問になった北川氏は「21世紀の最大の課題はまちづくり。そこに皆さんが積極的に参加され、消費者や住民と一緒に、理念でなく、現実的なビジネスモデルを創造されることを期待したい」と、寺島氏は「国土計画や都市再生という分野でいま求められているのは、専門家の集積した知見と国際性という視点。それを共有するプラットホームとしてもこうした協会が必要。ぜひいい仕事をされ、専門家としての役割を果してほしい」と、それぞれ不動産鑑定士を前に、一層の奮起を促しています。

 全国各地で身近に持ち上がっているまちの問題。不動産鑑定士たちが不動産カウンセラーとして、地域に根ざし、地域の人たちと協働して、地域に貢献するプロジェクトが各地で出てくること。そして元気を取り戻したまちが数多く出てくることを期待したいと思います。

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